原状回復特約に関する判例3

原状回復特約に関する判例3

京都地判 平成9年6月10日

事案の概要

賃借人X1、X2は、賃貸人Yとの間で平成4年4月1日、本件建物のうち各部分をX1は月額9万9000円、X2は6万6000円で賃貸借契約を締結し、その際敷金としてX1は29万7000円を、X2は19万8000円を交付した。
X1、X2は、いずれも平成7年9月24日、本件建物から退去したが、Yが敷金を返還しなかったため、その支払いを求めた。一方、Yは本件契約に原状回復の特約(賃借人が建物を明渡す際、賃貸人が設備等の修理、清掃の必要があると認めて賃借人に通知した場合、賃借人が賃貸借開始時の原状回復する)に基づき、Yが実施した原状回復費用及び設備協力金に充当したので、その差額の支払を求めて反訴した。

判決の要旨

賃貸目的物は、時間の経過によって自然劣化するとともに、賃借人の通常の使用によって必然的に損耗することが予定されており、賃料には、それら減少価値を補う意味が含まれている。
本件特約の記載から直ちに賃借人が、無常権威本件建物を使用開始前の状態に回復する義務を規定したものとは解せないし、XらとYの間でそうした義務があることを合意したと認めるに足りる証拠はない。よって、本件特約は、Xらの故意・過失による毀損やる羽状でない使用方法による建物の劣化について原状回復義務を定めたものに過ぎない。本件建物部分の汚損がXらの故意・過失によるものとは認められない。

以上から、Xらの主張を認め、敷金の全額返還を認めた。

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